「AI検索対策、まだ何もされていませんよね?」——この1年で、そんな営業電話や提案書が一気に増えました。
並んでいるのは「llms.txtの設置」「AI専用の構造化データ」「AI検索での掲載保証」といった言葉。どれも新しそうに聞こえます。
ところがGoogleは公式ドキュメントで、その多くを「Google検索では無視される」とはっきり書いています。何にお金を払い、何を断るべきか。一次情報だけで整理します。
この記事でわかること
- Googleが「生成AI検索のために作る必要はない」と明記した施策
- AI検索対策の提案を受けたときに確認したい3つの質問
- 中小企業が実際にやるべき、地味だが効く土台づくり
- AI検索経由の見え方をSearch Consoleで確認する方法
AIモードの日本語提供から、ちょうど1年
Googleが検索の「AIモード」を日本語で提供開始したのは2025年9月9日でした(Google Japan Blog)。本日でちょうど1年になります。
同発表によると、AIモードは「クエリファンアウト」という技術を使い、ひとつの質問を複数のサブトピックに分解して、ユーザーに代わって検索を実行します。また、初期のユーザーは従来の検索クエリの2〜3倍の長さで質問していたことも公表されています。
つまり、検索の「聞かれ方」は確実に変わりました。「大阪 工務店」ではなく、「大阪市内で築40年の木造住宅の耐震補強、費用と補助金も含めて相談できる工務店」のような聞き方が増えるということです。
ここまでは事実です。問題は、この変化を「だから特別な対策が必要だ」という話にすり替える提案が増えていることです。
Google公式は「特別な最適化は不要」と明記している
Google検索セントラルのAI機能とウェブサイトには、AIによる概要やAIモードにコンテンツが表示されるための追加要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もない、と明記されています。
ページがAI機能のサポートリンクとして表示されるための条件は、次の3つだけです。
- ページがインデックスに登録されていること
- Google検索でスニペットが表示される状態であること
- 検索の技術的要件を満たしていること
「AEO(回答エンジン最適化)」「GEO(生成エンジン最適化)」という用語についても、Googleは生成AI検索向けに最適化するためのガイドのなかで、生成AI検索向けの最適化は検索体験向けの最適化であり、SEOの範疇にあるという立場を示しています。まったく新しい別ジャンルの施策が生まれたわけではありません。
あわせて重要なのが、要件をすべて満たしポリシーを守っていても、クロール・インデックス登録・配信が保証されるわけではない、とGoogle自身が書いている点です。「必ずAI検索に載せます」と約束できる会社は、原理的に存在しません。
Googleが「無視する」と明記した施策
同ガイドには「生成AI検索の誤解を解く:する必要のないこと」という章があり、Google検索が無視する要素が名指しで挙げられています。提案書でよく見かけるものと突き合わせると、次のようになります。
提案でよく聞く施策 | Google公式の見解 |
|---|---|
llms.txt などAI向けファイルの設置 | Google検索自体が使用しないため無視される。設置してもGoogle検索での表示やランキングには影響しない |
AI専用のマークアップ・マークダウンの追加 | 新たに作る必要はない |
コンテンツの「チャンク化」(AI向けに細かく分割) | 不要。Googleのシステムは1ページ内の複数トピックを理解できる。理想的なページ長というものはない |
AIに読ませるための文章の書き換え | 不要。類義語や意味を理解できるため、検索語句のバリエーションを網羅する必要はない |
ウェブ上の「言及」を集める・追いかける | 一見役立ちそうだが、実際にはそれほど役に立たない |
AI向けの特別なschema.org構造化データ | 生成AI検索に構造化データは必須ではない(リッチリザルト対策としては引き続き有効) |
誤解のないように補足します。llms.txtを置くこと自体が悪いわけではありません。Google以外のサービスやシステムのために用意・維持するのはまったく問題ない、とGoogleも書いています。問題なのは、それを「Google検索・AIモード対策」として販売することです。ここを混同した提案が実際に出回っています。
提案を受けたときに聞きたい3つの質問
1.「その施策は、Googleのどのドキュメントに書かれていますか?」
GoogleはサードパーティのSEOツールとアドバイスに関するガイダンスを公開し、外部の提案を公式ガイダンスと照らし合わせて評価するよう案内しています。出典を示せない施策は、その場で保留にして構いません。
2.「AI検索での掲載や順位を保証していませんか?」
Googleは、ランキングの成功を約束したり、Googleの「内部」指標を使っていると主張したりするサードパーティ製ツールには注意するよう促しています。外部ツールがGoogleの内部ランキングシステムやAIシステムにアクセスすることはありません。「AI検索1位保証」は、成立しない約束です。
3.「効果はどのレポートで確認できますか?」
Search Consoleには、生成AI機能でのパフォーマンスを確認するためのレポートが用意されています。「自社ツールでしか見えない独自スコア」ではなく、御社のSearch Consoleで確認できる指標で説明してもらいましょう。アカウントを預けずに済むという意味でも安全です。
では、中小企業は何をすればいいのか
独自性のあるコンテンツを持つ
Google公式ガイドは、独自の視点を持つコンテンツと、既存情報の言い換えを明確に区別しています。体験に基づく内容は独自の視点をもたらすが、要約はすでに他の場所で手に入る情報にすぎない、という整理です。
中小企業にとっての一次情報は、ほぼすべて現場にあります。見積の内訳、断った案件とその理由、失敗して学んだ工程、地域特有の事情。これは記事数で勝る大手メディアにコピーできません。当社が自社サイトで毎日更新を続けて見えてきたことはブログ毎日更新を70日やってみた|順位がつく記事とつかない記事の差にまとめています。
クロールとインデックスの土台を整える
- robots.txtやCDN、ホスティング側でクロールをブロックしていないか
- すべてのページに内部リンクからたどり着けるか(サイトマップ頼みになっていないか)
- 同じ内容のページが複数のURLで重複していないか
大事な情報を「テキスト」で書く
Googleは、重要なコンテンツをテキスト形式で提示することをベストプラクティスに挙げています。会社案内をPDFで置いただけ、施工事例が画像1枚だけ、料金表が画像、という状態は、検索にもAIにも読み取られにくくなります。町工場のHP集客|東大阪の発注者に見つかる「会社案内サイト」の作り替え方でも触れたとおり、加工可能な材質・公差・設備一覧をテキストで書くだけで拾われ方が変わります。
スマホでの見え方と表示速度を整える
すべてのデバイスで適切に表示されること、待たされないこと、メインコンテンツと広告やバナーが区別しやすいこと。ページエクスペリエンスは地味ですが、AI機能の前提となる基礎体力です。
画像と動画でテキストを補強する
生成AIの検索機能は関連する画像や動画も取り込めるため、ウェブページのリンク以外で表示される機会が増えます。施工前後の写真、作業風景、製品の実物写真は、そのまま資産になります。
Googleビジネスプロフィールを最新に保つ
生成AIの回答には、必要に応じてローカルビジネスの情報が含まれることがあります。Googleは検索でビジネスの詳細情報を追加・管理する方法を案内しています。大阪・関西の中小企業では「近くの◯◯」「大阪市 ◯◯」という探され方をする業種が多く、営業時間・住所・写真が古いままだとそれだけで機会損失です。地域名を含む検索の考え方はなぜ大阪の工務店HPに問い合わせが来ないのか|耐震補助金の検索需要と締切もあわせてご覧ください。
今日30分でできること
- Google検索で「site:自社ドメイン」を実行する。想定よりページ数が極端に少なければ、クロールかインデックスに問題がある可能性が高い。
- AIモードで「自社の業種+地域+よくある悩み」を実際に質問し、どんなページが引用されているかを見る。競合ではなく、業界団体や自治体が引用されていることも多い。
- Search Consoleを開き、生成AI機能に関するパフォーマンスを確認する。未登録ならまず登録する。
- 会社概要ページに、所在地・対応エリア・電話番号・営業時間をテキストで書く。画像やPDFの中にしかない場合は書き出す。
- Googleビジネスプロフィールの営業時間と写真を更新する。
ここまでで、外注もツール契約も必要ありません。
まとめ
- 検索の「聞かれ方」は変わったが、評価の土台は変わっていない。Google公式はAI機能向けの特別な最適化は不要と明記している。
- llms.txt、チャンク化、AI向けの書き換え、言及集めは、Google検索では無視されると名指しされている。
- 提案を受けたら「公式の出典」「保証の有無」「Search Consoleで測れるか」の3点を確認する。
- やるべきことは、現場発の独自コンテンツと、クロール・テキスト化・ページ体験・ビジネスプロフィールという基礎。
よくある質問
Q. llms.txtは設置しないほうがいいですか?
A. 設置しても構いません。Google検索では無視されるため、順位や表示に影響しないだけです。Google以外のサービス向けに用意・維持するのは問題ないとGoogleも明記しています。判断のポイントは「Google対策として費用を払うかどうか」です。
Q. AI検索対策をうたう会社に依頼するのは無駄ですか?
A. 無駄とは限りません。中身がSEOの基本(クロール、内部リンク、テキスト化、コンテンツ制作)であれば、呼び名が何であれ価値があります。判断軸は、提案内容を公式ガイドラインで説明できるかどうかです。
Q. AI検索で自社サイトが引用されているか調べる方法は?
A. Search Consoleの生成AI機能に関するパフォーマンスレポートで確認できます。加えて、AIモードで実際に自社の業種・地域・悩みを質問し、どのページが引用されるかを目視で確かめるのが早いです。
Q. 記事をAIで書いてもいいですか?
A. Googleは生成AIツールの使用自体を禁じていません。検索の基本事項とスパムに関するポリシーを満たすことが条件です。逆に、独自の情報や経験を含まない大量生産は、スパムポリシーに触れるおそれがあります。
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参考文献・出典
- Google 検索セントラル|Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する(2026年9月9日参照)
- Google 検索セントラル|AI 機能とウェブサイト(2026年9月9日参照)
- Google Japan Blog|Google 検索における「AI モード」を日本語で提供開始(2025年9月9日)(2026年9月9日参照)
- Google 検索セントラル|サードパーティの SEO ツールとアドバイスに関するガイダンス(2026年9月9日参照)
- Google 検索セントラル|Google 検索の技術要件(2026年9月9日参照)
- Google 検索セントラル|Google 検索でビジネスの詳細情報を追加、管理する(2026年9月9日参照)
- Google トレンド(日本/過去7日間・過去30日間、「AI検索」「MEO」「オウンドメディア」)で関連キーワードの動向を確認(2026年9月9日参照)
本記事の制度・仕様に関する記述は、上記の公式ドキュメントに基づいています。Google検索の仕様は継続的に更新されるため、実施前には最新の公式情報をご確認ください。




