「検索順位は変わっていないのに、ホームページへのアクセスだけが減っている」。2026年に入ってから、こうしたご相談が目に見えて増えました。

背景にあるのが、Google検索の「AIモード」です。2025年9月に日本語での提供が始まり、わずか1年で月間アクティブユーザー数は10億人を突破しました。

では、中小企業のホームページは何をすればいいのか。答えは意外にシンプルで、Google自身が2026年に公開した公式ガイドにはっきり書かれています。この記事では、その一次情報をもとに「やらなくていいこと」と「やるべき7ステップ」を整理します。

この記事でわかること

  • AIモードとは何か、2026年時点で何が起きているのか(Google公式発表ベース)
  • Googleが「不要」と明言した5つの施策(llms.txt、チャンキングなど)
  • 中小企業のホームページがAI検索に引用されるための7ステップ
  • Search Consoleの新レポートで「AI経由の露出」を測る方法
  • 30分でできる最初のチェックリストと、よくある3つの失敗

AIモードとは?2026年に起きた3つの変化

AIモードは、Google検索の結果ページに表示される「AIモード」タブから使える対話型のAI検索体験です。従来なら何度も検索し直していたような長く複雑な質問に、一回で答えを返します。

変化1:日本語提供から1年で「月間10億人」規模へ

Googleは2025年9月9日、AIモードの日本語提供開始を発表しました。そして2026年5月20日のGoogle I/O 2026では、提供開始から1年でAIモードの月間アクティブユーザー数が10億人を超え、検索クエリ数は提供開始以来、四半期ごとに倍増していることを明らかにしています。

「一部のITに詳しい人だけが使う機能」という段階は、すでに終わったと考えたほうが現実的です。

変化2:中身のモデルがGemini 3.5 Flashへ

2026年5月から、AIモードのデフォルトモデルはGemini 3.5 Flashへ順次アップグレードされています。あわせて検索ボックス自体も「過去25年で最大のアップデート」としてAIで作り直され、テキストだけでなく画像・ファイル・動画なども組み合わせて質問できるようになりました。

変化3:ユーザーの質問が長くなった

Googleによれば、AIモードの初期ユーザーは従来の検索クエリの2〜3倍の長さで質問していました。「大阪 西区 助成金」ではなく、「大阪市内で、パートを正社員にするときに使える助成金と、申請の準備で先にやることを教えて」といった聞き方です。

つまりユーザーは、キーワードではなく「状況そのもの」を投げてくるようになりました。ここが対策の出発点です。

仕組みを知ると対策が見える:クエリファンアウトとグラウンディング

AIモードの中核には、Googleが「クエリファンアウト」と呼ぶ技術があります。ユーザーの質問をサブトピックに分解し、ユーザーに代わって複数の検索を同時に実行するというものです。

Googleの解説では、「雑草だらけの芝生を直したい」という質問が「芝生用の除草剤」「薬剤を使わない除草」「雑草の予防」といった複数の検索に分解される例が挙げられています。従来の検索よりはるかに深くウェブを探索するため、1位でなくても拾われるページが増えるのが特徴です。

もうひとつが「グラウンディング(RAG)」。AIが勝手に答えを作るのではなく、Googleの検索インデックスから関連ページを取得し、その内容をもとに回答を組み立て、根拠となるリンクを提示します。

ここから導ける結論はシンプルです。Googleにインデックスされ、検索で通用するページでなければ、AIの回答の材料になりようがないということです。

Googleが「やらなくていい」と明言した5つのこと

2026年5月、GoogleはSearch Central上で「生成AI検索のための最適化ガイド」を公開しました。注目すべきは、ネット上で語られている“AI検索対策”の多くを、Googleが明確に否定している点です。以下は、Google検索に関して不要とされたものです。

  • llms.txt などの特別なファイル:生成AI検索に表示されるために、AI向けの新しい機械可読ファイルやマークダウンを用意する必要はない。
  • コンテンツの「チャンキング」:AIが理解しやすいように細切れにする必要はない。理想的なページの長さも存在しない。
  • AI向けの書き直し:AIは同義語や意図を理解できるため、あらゆる言い回しを網羅する必要はない。
  • 不自然な「言及(メンション)」集め:作為的にメンションを増やす施策は、見た目ほど有効ではない。
  • 構造化データへの過度な依存:生成AI検索に必須ではない(ただしリッチリザルトのため、SEO施策としては継続する価値がある)。

また、「AEO(アンサーエンジン最適化)」「GEO(生成エンジン最適化)」といった言葉についても、Google検索の立場からは結局のところSEOであると整理されています。「AI検索専用の裏技」に予算を割く前にこの一次情報を押さえておくだけで、無駄な投資をかなり減らせます。

※注意:これはあくまで「Google検索において」の話です。ChatGPTなど他社のAIサービスは仕様が異なるため、llms.txt等の是非を一律に判断しないでください。

中小企業がやるべき7ステップ

ステップ1:インデックスとスニペット表示の条件を満たす

Google公式ガイドは、生成AI機能に表示される前提条件として「そのページがインデックスされ、スニペット付きでGoogle検索に表示できる状態であること」を挙げています。noindexやnosnippetが意図せず残っていないか、Search Consoleの「URL検査」で確認しましょう。ここが抜けていると、他の施策はすべて無意味になります。

ステップ2:クロールできる状態を保つ

robots.txtでの過剰なブロック、JavaScriptでしか表示されない本文、ログインの内側にある情報。これらはAIが参照できません。サイトマップを送信し、更新のたびにクロールされる状態をつくります。

ステップ3:「どこにでもある記事」をやめる

Googleガイドでもっとも強調されているのが、コモディティ(ありふれた)コンテンツからの脱却です。一般論をまとめ直しただけの記事ではなく、自社が実際に見聞きした一次情報を書くこと。

  • 避けたい例:「◯◯を選ぶ7つのポイント」で一般論だけを並べた記事
  • 望ましい例:「◯◯で実際に起きたトラブルと、そのとき現場でどう判断したか」

この点では、中小企業は大手より有利です。現場の判断、地域の事情、実際の見積もり感覚は、他社が複製できません。

ステップ4:人が読みやすい構成にする

見出しで構造をつくり、結論を先に書き、段落を分ける。これはAI向けの小細工ではなく、Googleが「人のために」推奨している基本です。結果として各段落が単独で意味を成すため、AIにも引用されやすくなります。

ステップ5:画像・動画を添える

生成AI検索の回答には、関連する画像や動画も取り込まれます。テキストだけのページより露出の入口が増えるということです。現場写真、施工の前後、実物の画像は中小企業の強みになります。

ステップ6:地域・商品情報を整える

Googleビジネスプロフィールや、ECならMerchant Centerの情報整備は、AI回答内での可視性にもつながるとGoogleは説明しています。営業時間、住所、サービス内容、写真——基本情報の鮮度を保つだけでも意味があります。

ステップ7:Search Consoleの新レポートで測る

2026年6月3日、GoogleはSearch Consoleに「生成AIパフォーマンスレポート」を追加したと発表しました。AI OverviewsやAIモードなど生成AI機能での自社サイトの表示状況を、専用のビューで確認できます。確認できるのは次の項目です。

  • 表示回数:生成AI機能に自社URLが表示された回数
  • ページ:どのURLが表示されたか
  • 国・デバイス
  • 期間:時間別・日別・週別・月別

ただし現時点では一部のサイトへの先行提供です。自社のSearch Consoleにまだ表示されていなくても異常ではありません。まずはSearch Consoleの所有権確認を済ませ、レポートが届いたときにすぐ測れる状態をつくっておきましょう。あわせて、Googleアナリティクスや問い合わせ件数など、既存の指標と並べて見られるようにしておくと変化に気づきやすくなります。

30分でできる最初のチェックリスト

  1. Search Consoleに自社サイトが登録されているか確認する(未登録なら所有権確認から)
  2. 主要な5ページをURL検査にかけ、インデックス済みかを見る
  3. robots.txtとmetaタグにnoindex/nosnippetが残っていないか確認する
  4. 実際にGoogleのAIモードで「自社の商圏+サービス内容」を長い文章で質問してみる
  5. そこに出てきた競合ページと自社ページを見比べ、「自社にしか書けない情報」を3つ書き出す
  6. その3つを、次に書く記事のテーマにする

よくある3つの失敗

失敗1:AI対策と称して記事を量産する

Googleは、ランキングやAI回答の操作を主目的とした大量生成を「スケールされたコンテンツの不正使用」としてスパムポリシー違反に位置づけています。ページ数を増やせばサイトの品質が上がるわけではない、と公式に明言されています。

失敗2:ホームページを作りっぱなしにする

更新の止まったサイトは、クロールの頻度も、AIが参照する情報の鮮度も落ちていきます。「作って終わり」は、AI検索時代にもっとも損な状態です。

失敗3:順位だけを見て一喜一憂する

AIモードでは、クリックされる前に情報が届くこともあれば、順位が上位でないページが引用されることもあります。順位だけでなく、表示回数・問い合わせ数・指名検索数まで含めて見る必要があります。

まとめ

  • AIモードは日本語提供から1年で月間10億人超。もはや例外的な機能ではない
  • Google公式は「AI専用の裏技は不要、SEOの基本がそのまま効く」と明言している
  • llms.txt・チャンキング・AI向けの書き直しは、Google検索については不要
  • やるべきは、インデックス確保/クロール改善/一次情報の発信/読みやすい構成/画像・動画/地域情報の整備/Search Consoleでの計測
  • 最大の差がつくのは「他社に書けない中身を、継続して出せるかどうか」

よくある質問(FAQ)

Q1. AIモード対策は、SEOとは別に必要ですか?

A. Googleは、生成AI機能が検索のランキング・品質システムを土台にしているため、SEOのベストプラクティスが引き続き有効だと説明しています。まったく別物として切り離す必要はありません。

Q2. llms.txtは作ったほうがいいですか?

A. Google検索の生成AI機能に表示されるために作る必要はない、とGoogleは明言しています。ただし他社のAIサービスは方針が異なるため、「Googleについては不要」という理解が正確です。

Q3. 構造化データは無駄になりますか?

A. いいえ。生成AI検索に必須ではありませんが、リッチリザルトの対象になるため、SEO施策としては継続する価値があるとされています。

Q4. 効果はどれくらいで出ますか?

A. 断定はできません。Googleはクロール・インデックス・表示を保証していないため、短期の順位変動よりも、半年から1年の蓄積で見るのが現実的です。

Q5. 何から手をつけるべきですか?

A. まずはSearch Consoleの登録と、主要ページのインデックス確認です。そのうえで、自社にしか書けないテーマで記事を継続的に出せる体制をつくることをおすすめします。

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参考文献・出典

  • Google Japan Blog「Google 検索における「AI モード」を日本語で提供開始」(2025年9月9日)https://blog.google/intl/ja-jp/products/explore-get-answers/ai-mode-search/ /参照日:2026年7月31日
  • Google Japan Blog「AI 検索の新時代」(2026年5月20日)https://blog.google/intl/ja-jp/products/explore-get-answers/search-io-2026/ /参照日:2026年7月31日
  • Google Search Central「Optimizing your website for generative AI features on Google Search」https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide /参照日:2026年7月31日
  • Google Search Central Blog「Introducing Search Generative AI performance reports in Search Console」(2026年6月3日)https://developers.google.com/search/blog/2026/06/gen-ai-performance-reports /参照日:2026年7月31日
  • Google Search Central「Search Essentials(技術要件)」https://developers.google.com/search/docs/essentials/technical /参照日:2026年7月31日
  • Googleトレンド(地域:日本)「AI検索」「AIモード」「LLMO」「AIO」「生成AI検索」の推移および関連キーワード(過去7日間/過去30日間、2026年7月31日確認)https://trends.google.com/trends/ /参照日:2026年7月31日