原材料費も人件費も上がり続けるなか、「売上は大きく変えられないのに、コストばかりが増えていく」と感じていませんか。利益を守る一番の近道は、毎月固定で出ていくお金=固定費の見直しです。
しかも2026年7月、国の電気・ガス料金支援が再開します。今は固定費を点検する絶好のタイミングです。
本記事では、中小企業がムリなく取り組める固定費削減を、電気代・通信費を中心に7つの手順で解説します。
この記事でわかること
- 2026年7月に再開する電気・ガス料金支援の中身と、取りこぼさないための注意点
- 通信費(固定電話・回線・クラウドPBX)を減らす具体策
- 今日から着手できる「固定費削減7つの手順」
なぜ今、中小企業は「固定費」を見直すべきか
結論から言えば、固定費は「一度減らせば効果が毎月続く」コストだからです。チラシ代や仕入れのような変動費は売上に応じて増減しますが、家賃・通信費・電気代・サブスク料金などの固定費は、使っても使わなくても出ていきます。逆に言えば、ここを月1万円減らせれば、来月も再来月も1万円浮く——削減効果が積み上がるのが固定費の強みです。
物価高と賃上げが続く局面では、値上げだけで利益を確保するのは簡単ではありません。固定費の見直しは、売上を増やさずに利益率を押し上げられる、数少ない「自社でコントロールできる打ち手」です。一度仕組みを整えれば、特別な投資をしなくても効果が続きます。
【2026年7月再開】電気・ガス料金支援を取りこぼさない
2026年は、1〜3月に続き、7〜9月使用分でも国の電気・ガス料金支援(激変緩和措置)が実施されます。家庭だけでなく企業も対象で、原則として申請は不要、契約中の電力・ガス会社を通じて自動的に値引きされるのが基本です。
支援の単価(2026年7〜9月使用分)
- 電気・低圧(多くの中小事業所が該当):7月・9月は3.5円/kWh、8月は4.5円/kWhの値引き
- 電気・高圧:7月・9月は1.8円/kWh、8月は2.3円/kWhの値引き
標準的な使用量の家庭で3か月合計およそ5,000円の負担軽減が見込まれるとされています。電力使用量の多い事業所ほど、値引きの総額は大きくなります。
中小企業が注意したい「使用月」と「請求月」のズレ
支援は「電気を使った月」を基準に適用されます。7月使用分が反映されるのは、多くの場合8月以降に届く請求書です。「7月の支払いに反映されていない」と慌てる前に、請求書の“使用期間”の欄を確認しましょう。値引きが正しく反映されているかをチェックする習慣が、取りこぼし防止につながります。
補助に頼りきらない——契約プラン・新電力の見直し
支援はあくまで期間限定の負担軽減策です。恒久的に電気代を下げたいなら、契約プランや電力会社そのものの見直しが効果的です。電力自由化により、大手と同等の品質で割安なプランを提供する新電力もあり、切り替えによって月数%、年間でおよそ1か月分の電気代を削減できたという例も紹介されています。まずは複数社を相見積もりして比較するのが基本です。
通信費は「固定電話」から見直すと効果が大きい
通信費は、毎月ほぼ一定額が出ていく典型的な固定費でありながら、「昔の契約のまま」になりがちな領域です。だからこそ見直しの余地が大きく、まずは全体像の把握から始めます。
手順1:契約書と請求書を1か所に集める
固定電話、インターネット回線、法人携帯――それぞれの契約書と直近の請求書をすべて集め、1枚の一覧表にまとめます。「何に・毎月いくら・どのオプションで」払っているかを並べるだけで、重複契約や使っていないオプションが自然と浮かび上がります。
手順2:固定電話・回線の棚卸し
スマートフォンの普及で、オフィスに必要な電話回線は以前より減っています。使っていない回線を1本解約するだけで、年間およそ3万円のコストカットになるケースもあります。光回線やプロバイダのセット割を見直すことで、毎月の支払いを下げられることもあります。
手順3:クラウドPBXという選択肢
クラウドPBXは、インターネット回線を使って電話環境を構築する仕組みです。専用アプリを入れた端末同士の内線通話が無料になり、外出中の社員の携帯や支社との通話コストを圧縮できます。固定電話を廃止してクラウドPBXへ移行し、通信費を最大6割削減できたという事例も紹介されています。ただし「安さ」だけで選ぶのは禁物です。通信の安定性、障害時のサポート体制、通信の暗号化(SRTP/TLSなど)への対応も含めて、総合的に評価しましょう。
「使っていないサブスク・システム」も立派な固定費
クラウドサービスやSaaSは導入が手軽な反面、数が増えやすく、「契約したことは覚えているが、誰がどれだけ使っているか分からない」状態に陥りがちです。使われていない“ゴーストライセンス”や、機能が重複するツールは、毎月静かに利益を削ります。半年に一度はアカウントと利用状況を棚卸しし、不要なプランの解約・ダウングレード・統合を検討しましょう。特に、年払いのサービスは更新月の直前に「来年も本当に必要か」を判断するのがコツです。
見落としがちな固定費:保険・リース・各種手数料
固定費の見直しというと通信費や電気代に目が向きがちですが、実は「毎月・毎年、当たり前のように払い続けているもの」ほど削減余地が眠っています。次のような項目も、棚卸しの対象に加えてみてください。
- 損害保険・各種保険:補償内容が現在の事業規模と合っているか。重複した補償や、過剰な特約がないかを確認する。
- 複合機・OA機器のリース:印刷枚数に対して契約が割高になっていないか。リース満了のタイミングで条件を見直す。
- 銀行の振込手数料・口座維持コスト:ネットバンキングやまとめ振込の活用で、地道に圧縮できる。
- 会費・年会費:使っていない業界団体やサービスの会費が、惰性で残っていないか。
一つひとつは小さく見えても、固定費は「塵も積もれば」で年間の負担が膨らみます。金額の大小ではなく、「本当に今の事業に必要か」という基準で棚卸しすることが大切です。
固定費削減を成功させる7つの手順
- 洗い出す:家賃・通信・電気・サブスク・保険・リースなど、毎月出ていく固定費をすべてリスト化する。
- 分類する:「すぐ削れる(不要なオプション等)/交渉・乗り換えで削れる/削れない」の3つに仕分ける。
- 効果の大きい順に着手:金額が大きく手間が少ない項目(通信費・電気プランなど)から取りかかる。
- 相見積もりを取る:電力・通信・各種サービスは複数社を比較する。現契約の更新月もあわせて確認する。
- 使える制度を取り込む:電気・ガス料金支援など、活用できる公的支援は確実に取り込む。
- 乗り換え・解約を実行:品質とサポートを確認したうえで切り替える。解約時期の違約金にも注意する。
- 定期的に見直す:年1〜2回は棚卸しを再実施し、契約が元に戻っていないかを点検する。
ポイントは、すべてを一度にやろうとしないこと。効果が大きく着手しやすい1〜2項目から始め、浮いたお金と時間を次の見直しに回すと、無理なく続けられます。
まとめ
固定費削減は、売上を増やさずに利益を守れる、再現性の高い経営改善策です。2026年7月の電気・ガス料金支援という追い風を活かしつつ、通信費や使っていないサブスクの棚卸しまで進めれば、削減効果は着実に積み上がります。まずは「契約書と請求書を1か所に集める」ことから、今日始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 電気・ガス料金支援を受けるのに申請は必要ですか?
A. 原則として申請は不要で、契約している電力・ガス会社を通じて自動的に値引きされます。新電力やガス会社でも、その事業者が支援に参加していれば対象になります。請求書で値引きが反映されているかを確認しましょう。
Q. 固定費の見直しは、どこから手をつけるのが効率的ですか?
A. 「金額が大きく、手間が少ない」項目からが鉄則です。多くの企業では、通信費と電気のプラン見直しが、比較的少ない労力で効果を出しやすい入口になります。
Q. 通信費を下げると、品質が落ちないか心配です。
A. 料金の安さだけで選ぶと、通信が不安定になったり障害対応が遅れたりするリスクがあります。価格に加えて、安定性・サポート体制・セキュリティを総合的に比較することが大切です。
Q. 自社で全部やる時間がありません。
A. 固定費の棚卸しと相見積もりは、地道で手間のかかる作業です。外部の専門サービスに任せれば、現状分析から乗り換え先の選定まで代行してもらえ、本業に集中しながら削減を進められます。
固定費の見直しは「ヤスク」にまとめてご相談ください
「削れるのは分かっているが、何から手をつければいいか分からない」「比較や交渉に割く時間がない」――そんな中小企業のために、有限会社リールゲイトはコスト削減サービス「ヤスク」を提供しています。
業務システムやSaaS、通信費といった固定費を棚卸しし、御社に合った見直しや代替ツールをご提案します。
- 使っていないサブスク・重複ツールの洗い出しと最適化
- 通信費・業務システムなど、固定費全般のコスト削減のご提案
- 現状分析から乗り換えの実行支援までサポート
「まずは自社にどれくらい削減の余地があるか知りたい」という段階でも構いません。ご相談だけでもお気軽にお問い合わせください。大阪・北堀江を拠点に、約20年にわたり中小企業の経営を支えてきたリールゲイトが、ムダのないコスト構造づくりをお手伝いします。
参考文献・出典
- 資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援(激変緩和措置)」 https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/ (2026年6月30日参照)
- ENECHANGE「【2026年】電気代・ガス代の補助金の最新情報」 https://enechange.jp/articles/electricity-subsidy (2026年6月30日参照)
- ENEOS Power「【2026年7〜9月】電気代・ガス代の補助金はいつまで?」 https://www.eneos-power.co.jp/article/power-company/electricity-bill-subsidy/ (2026年6月30日参照)
- トラムシステム「企業の通信コスト削減方法10選」 https://www.tramsystem.jp/voice/voice-3635/ (2026年6月30日参照)
- @SOHO「クラウドPBX比較2026|固定電話廃止して通信費を60%削減する方法」 https://atsoho.com/blog/cloud-pbx-compare-2026 (2026年6月30日参照)
- エネチェンジ「固定費の8項目の節約方法」 https://enechange.jp/articles/saving-fixed-cost (2026年6月30日参照)
- Googleトレンド(日本/過去7日間:「電気代」「通信費」「コスト削減」の検索動向を参照) https://trends.google.com/ (2026年6月30日参照)




