2026年7月1日、Microsoft 365/Office 365の一部プランが値上げされました。プランによっては1ユーザーあたり月額で1〜2割の負担増になります。「気づいたら毎月のツール代がじわじわ増えている」——そんな中小企業にとって、今はSaaS・サブスク費用を棚卸しする絶好のタイミングです。
この記事でわかること
- 2026年7月のMicrosoft 365値上げの具体的な内容(主要プランの新旧価格)
- 中小企業のSaaS費用が知らないうちに膨らむ3つの典型パターン
- 今日から実践できるSaaSコスト削減の方法5ステップと見直しの事例パターン
2026年7月、Microsoft 365が値上げ|主要プランの新旧価格
日本マイクロソフトの発表に伴い、2026年7月1日からMicrosoft 365/Office 365の一部スイート製品および関連製品の価格が改定されました。販売代理店経由の年契約/月払いプランの例(税込)を見ると、値上げ幅の大きさがわかります。
- Microsoft 365 Business Basic:1,038円 → 1,211円(約17%増)
- Microsoft 365 Business Standard:2,164円 → 2,423円(約12%増)
- Microsoft 365 Apps for business:1,427円 → 1,731円(約21%増)
- Office 365 E3:3,982円 → 4,502円(約13%増)
たとえばBusiness Standardを10名で使っている会社なら、月額21,640円が24,230円に。年間では約3.1万円の負担増です。これはMicrosoft 365単体の話ですが、円安やベンダー側の人件費上昇を背景に、ここ数年は国内外のSaaS全般で値上げが相次いでいます。1つひとつは小さくても、複数のツールで同時に起これば固定費への影響は無視できません。
値上げが続く背景と、中小企業が取るべきスタンス
海外製SaaSは料金がドル建てで設計されていることが多く、円安が進むほど円換算の価格は上がりやすくなります。加えて、AI機能の追加開発やベンダー側の人件費上昇もコストに転嫁されつつあり、「一度上がった価格が元に戻る」ことはほとんど期待できません。つまり中小企業側にできるのは、値上げそのものを止めることではなく、「本当に必要な契約だけにお金を払う状態」を維持することです。幸い、SaaSは解約・プラン変更が比較的容易で、見直しの効果が翌月から固定費に直結するという、コスト削減の中でも即効性の高い領域です。
なぜ中小企業のSaaS費用は膨らみ続けるのか
SaaSの利用数そのものが増えている
freee社が経営者・情報システム担当者1,019人を対象に実施した「情シスのSaaS利用実態調査レポート2025年版」によると、有償SaaSを利用している企業は61%にのぼり、そのうち半数が6個以上の有償SaaSを利用しています。さらに、2年前と比較してSaaS利用数が「増えている・現状維持」と答えた企業は95%を超えました。会計、勤怠、チャット、ストレージ、Web会議……と、SaaSはもはや企業活動の前提になっており、放っておけば契約数も金額も増える一方なのです。
ムダが生まれる3つの典型パターン
SaaS費用のムダは、多くの場合次の3つに集約されます。
- 使われていない契約:退職者のアカウントが残ったまま、導入したが定着しなかったツールを払い続けている
- 機能の重複:Web会議・チャット・ストレージなど、同じ機能を持つツールを部署ごとに別々に契約している
- 過剰なプラン:実際は基本機能しか使っていないのに、上位プランや全員分の有償ライセンスを契約している
怖いのは、これらが毎月自動で引き落とされ、値上げも自動で適用されることです。誰も痛みを感じないまま、固定費だけが静かに積み上がっていきます。
SaaSコスト削減の方法|今日からできる5ステップ
ステップ1:契約中のSaaS・サブスクをすべて一覧化する
まずは棚卸しです。クレジットカードの明細、銀行口座の引き落とし、請求書払いの契約をさかのぼり、「サービス名/月額(年額)/契約プラン/ライセンス数/契約更新日/管理者」を1つの表にまとめます。部署ごとに勝手に契約しているケースも多いため、経理の支払データから拾うのが漏れのないコツです。
ステップ2:実際の利用状況を確認する
一覧ができたら、それぞれ「誰が・どれくらい使っているか」を確認します。多くのSaaSは管理画面でログイン履歴やアクティブユーザー数を確認できます。「契約ライセンス20、実際に使っているのは8人」といった実態は、ここで初めて見えてきます。
ステップ3:4つの選択肢に振り分ける
利用実態をもとに、各契約を次の4つに振り分けます。
- 解約:ほぼ使われていない、代替手段がある
- ダウングレード・数量削減:上位プランや余剰ライセンスを実態に合わせる
- 統合:機能が重複するツールを1つに寄せる(グループウェアに含まれる機能で代替できないか確認)
- 継続(条件見直し):月払いから年払いへの切り替えや、更新時の価格交渉を検討
ステップ4:解約・変更を実行し、更新日をカレンダー管理する
サブスク解約は「更新日の何日前までに申請」という条件付きが多く、タイミングを逃すと1年分自動更新されることもあります。契約ごとの更新日と解約期限を必ずカレンダーに登録し、更新の1〜2か月前に見直す運用にしましょう。
ステップ5:増やすとき・値上げされたときのルールを決める
一度削減しても、ルールがなければ2年後には元に戻ります。「新規SaaS契約は申請制にする」「値上げ通知が来たら代替ツールと比較してから更新する」「年1回、全契約を棚卸しする」といったルールを決めておくことが再発防止になります。前述のfreee調査でも、SaaS管理の仕組みを導入した企業の91%が「効果があった」と回答しており、具体的な効果として「コスト削減に効果的」を挙げた企業は52.9%にのぼります。
見直しの事例パターン|こんなところにムダが潜む
実際の見直しでよく見つかるパターンを挙げます。自社に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
- 退職者・異動者のライセンスが残っている:入退社時の手続きにSaaSアカウントの削除が組み込まれていない
- 「とりあえず全員分」契約:実際に使うのは一部の部署だけなのに、全社員分の有償ライセンスを契約している
- Web会議ツールの二重契約:Microsoft 365にTeamsが含まれているのに、別のWeb会議ツールも有償契約している
- キャンペーン価格の終了に気づいていない:初年度割引が切れて正規価格になったまま放置
- ほぼ同じ機能のツールが部署ごとに別契約:タスク管理やストレージが部署単位でバラバラに契約されている
削減インパクトの目安を試算してみる
「見直しにかける手間に見合う効果があるのか」と感じる方のために、簡単な試算をしてみましょう。仮に社員20名の会社が月額合計15万円のSaaSを契約していて、棚卸しの結果「未使用ライセンスの削除」「重複ツールの統合」「過剰プランのダウングレード」で支出の15%を削減できたとします。月額で22,500円、年間では27万円の固定費削減です。これは一度の見直しで、その後もずっと効き続けます。売上でこの利益を稼ぐには、利益率10%なら270万円の追加受注が必要と考えると、棚卸しの費用対効果の高さがイメージできるはずです(数字はあくまで説明用のモデルケースです)。
まとめ|値上げの通知は「見直しの合図」
2026年7月のMicrosoft 365値上げのように、SaaSの価格改定は今後も続くと考えるのが現実的です。大切なのは、値上げの通知を「仕方ない」と受け流すのではなく、契約全体を棚卸しする合図にすること。本記事の5ステップ(一覧化→利用状況の確認→振り分け→実行と更新日管理→ルール化)を回せば、サービスの質を落とさずに固定費を下げる余地は多くの会社に残されています。
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaSの見直しは、どれくらいの頻度でやるべきですか?
最低でも年1回、できれば契約更新月の1〜2か月前に個別で見直すのが理想です。値上げ通知や決算のタイミングを「棚卸しの合図」にすると習慣化しやすくなります。
Q2. 値上げされたSaaSは、すぐ乗り換えるべきですか?
即断は禁物です。乗り換えにはデータ移行や再教育のコストもかかります。「値上げ後の価格でも他ツールより安いか」「使っていない機能に払っていないか」を確認し、まずはプラン変更や年払い化で吸収できないかを検討してから判断しましょう。
Q3. 何から手をつければいいかわからない場合は?
まずステップ1の「一覧化」だけで構いません。支払明細から契約を書き出すだけで、多くの場合「こんなに払っていたのか」という発見があります。全体像が見えれば、優先順位は自然に決まります。
SaaS・固定費の見直しは「ヤスク」にご相談ください
有限会社リールゲイト(大阪市西区北堀江・創業約20年)では、中小企業向けのコスト削減サービス「ヤスク」を提供しています。日々の業務で手が回らない契約の棚卸しから、代替ツールのご提案まで、本記事でご紹介したような見直しを実務としてサポートします。
- 業務システム・SaaSのコスト診断と削減余地の洗い出し
- サブスク契約の見直し・重複ツールの整理のご提案
- 同等機能でコストを抑えられる代替ツールのご提案
「うちの場合はどこから手をつけるべき?」という段階で構いません。まずはご相談だけでもお気軽にどうぞ。
参考文献・出典
- NTTドコモビジネス お客さまサポート「Microsoft 365 価格改定のお知らせ(2026年7月以降)」 https://support.ntt.com/office365/information/detail/pid2500002fdt/ (参照日:2026年7月8日)
- フリー株式会社「Bundle by freee、『情シスのSaaS利用実態調査レポート2025年版』を公開」 https://corp.freee.co.jp/news/20250709bundle_reserch.html (参照日:2026年7月8日)
- Googleトレンド(地域:日本、過去7日間および過去1ヶ月の「コスト削減」「サブスク解約」等の動向・関連キーワードを参照) https://trends.google.com/trends/ (参照日:2026年7月8日)




