「ブログを毎日書けば集患につながる」。そう聞いて歯科医院のホームページにブログを始めたものの、院長自身の体験談やスタッフの感想を載せた記事が、実は医療広告ガイドラインの規制対象になりうることは、意外と知られていません。

医療機関のブログは、一般企業のブログと違い「何を書いてはいけないか」が国のガイドラインで定められています。知らずに書き続けると、積み上げた記事が修正対象になるおそれもあります。

この記事では、大阪の歯科医院の院長・事務長に向けて、厚生労働省の資料をもとに「ブログで気をつけたいポイント」を整理します。法律の最終判断は管轄の窓口でご確認ください。

この記事でわかること

  • ブログが「医療広告」に当たるかどうかの判断基準(3つの要件)
  • スタッフ・院長の体験談、口コミ引用、ビフォーアフター写真が問題になる理由
  • 広告可能事項の「限定解除」の4要件
  • 規制に配慮しながら、Google検索で評価されやすい記事を書くコツ

1. 歯科医院のブログは「医療広告」に当たるのか

厚生労働省の医療広告等ガイドラインでは、次の3つをすべて満たす場合に医療広告に該当するとされています(第2の1-1)。

要件

内容

誘引性

患者の受診等を誘引する意図があること

特定性

医療機関の名称などが特定できること

内容

医業・歯科医業、または病院・診療所に関する内容であること

自院のホームページに載せるブログは、通常、院名が分かり、来院してもらう意図もあるため、広告として扱われる前提で考えておくのが安全です。ガイドラインは、広告であることを隠す「記事風広告」のような形式でも、実質的に要件を満たせば広告として扱われるとしています(第2の2)。

なお、広告代理店やメディア、アフィリエイターなど、広告の依頼を受けて制作・掲載する側も規制の対象になりうるとされています(第2の6)。ブログ運用を外部に任せている医院も、他人事ではありません。

2. 禁止されている広告の類型を押さえる

ガイドラインが示す主な禁止類型は次のとおりです。

類型

根拠

虚偽広告(罰則付き)

医療法第6条の5第1項

比較優良広告(他院より優れている旨)

同条第2項第1号

誇大広告

同条第2項第2号

公序良俗に反する内容

同条第2項第3号

患者の主観・伝聞に基づく体験談

省令第1条の9第1号

誤認させるおそれのある治療前後の写真

省令第1条の9第2号

ブログでうっかり触れやすいのは、下の2つ(体験談・治療前後の写真)です。次の章で具体例を見ていきます。

3. ブログで起きやすい3つの落とし穴

厚生労働省が公表している医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)には、ブログやSNSに関わる具体的な事例が載っています。要点を3つに絞ります。

落とし穴① スタッフ・院長の体験談も対象になる

事例解説書では、院長自身の施術体験をスタッフブログに載せたケースや、患者の体験を職員が代わりに書いたケースも、患者の体験談と同じく規制対象とされています。趣旨は「患者等ではなく医療機関のスタッフ等が記載した体験談であっても規制の対象となる」というものです。

「実際にホワイトニングを受けてみました」のようなスタッフ体験記は、親しみやすい記事に見えますが、注意が必要です。

落とし穴② 口コミの転載・都合のよい抜粋

口コミサイトの内容を自院サイトに載せると、体験談の広告として扱われます。さらに、医院にとって好ましい感想だけを選んで強調すると、虚偽・誇大にあたるとされています。

また、症例紹介の中に「Aさんは5年前から悩んでいましたが…」のように患者の主観的な効果を書くことも、体験談として問題になる事例として挙げられています。

落とし穴③ ビフォーアフター写真だけを載せる

治療前後の写真を説明なしで載せるのは違反とされています。改善例として、治療内容・期間や回数・費用・リスクや副作用などを写真に添えることが示されています。複数の症例をまとめて一括で説明するのも不可で、写真ごとの説明が必要です。さらに、詳細説明をリンク先に置くことや、極端に小さな文字にすることは認められないとされています。

4. 「限定解除」の4要件とは

医療法では、広告できる事項は原則として限定されています。ただし、患者が自ら求めて入手する情報については、一定の要件を満たせば、広告可能事項以外も掲載できる「限定解除」の仕組みがあります。大阪府の医療広告の案内ページでは、次の4要件がすべて必要で、(3)と(4)は自由診療について情報を提供する場合に限られるとされています。

  1. 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどであること
  2. 表示内容について、問い合わせ先の記載などで患者等が容易に照会できること
  3. 自由診療について、通常必要とされる治療内容や費用などの情報を提供すること
  4. 自由診療について、主なリスクや副作用などの情報を提供すること

つまり、ブログの末尾に問い合わせ先を明記し、自由診療(たとえば保険外のホワイトニングや矯正など)を取り上げるなら、内容・費用・リスクを同じ記事の中で丁寧に説明する、という書き方が基本になります。ただし、限定解除を満たしても、虚偽・誇大・比較優良などの禁止事項は引き続き守る必要があります。

5. 規制に配慮しつつ、検索で評価されるブログの書き方

「書けないことが多いなら、ブログは意味がない」と考える必要はありません。むしろ、規制の範囲内で書ける内容は、Googleが重視する考え方と相性が良い部分があります。Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」では、独自の情報や分析、読者の目的を果たせる十分な情報、著者や情報源が明確で信頼の根拠があることが、自己診断の観点として示されています。また、健康に関わる分野は特に信頼性が重視されるとも書かれています。

歯科医院のブログで具体的に書きやすいテーマの例は次のとおりです。

  • 診療の流れ・検査の説明:初診から治療開始までの流れ、レントゲンやCTで何を見るのか
  • 予防の知識:歯みがきの基本、定期検診の考え方(効果を断定しない)
  • 費用・制度の事実:保険診療と自由診療の違い、診療時間、アクセス、予約方法
  • 地域の情報:大阪市内なら最寄り駅からの道順、駐車・駐輪の案内、近隣の学校・企業向けの健診案内
  • 院長の考え方・院内の取り組み:感染対策、機器の導入理由(効果の保証にならない表現で)

書き方では、「必ず治ります」「痛みゼロ」「地域No.1」といった断定・最上級表現を避け、根拠のない効果の約束をしないことが前提です。写真を使う場合は、治療前後の比較ではなく、院内の様子や設備、スタッフの紹介など、説明がしやすいものから始めると運用が楽になります。

関西の中小企業のホームページ運用については、なぜ大阪の工務店HPに問い合わせが来ないのかや、大阪の士業事務所はなぜHPを更新しないのかでも、業種ごとの考え方を書いています。毎日更新を自社で続けて分かったことは、ブログ毎日更新を70日やってみたにまとめています。同じ「地域×業種」でも、医療は規制がある分、事前の設計がいっそう大切です。

6. 公開前の5つのチェック

  1. 院長・スタッフ・患者のどれであっても、治療の効果や感想を「体験談」の形で書いていないか
  2. 口コミを転載・引用していないか(有利なものだけの抜粋も避ける)
  3. ビフォーアフター写真には、写真ごとに治療内容・期間や回数・費用・リスクや副作用を付けているか
  4. 自由診療を扱う記事に、内容・費用・リスクの説明と問い合わせ先があるか
  5. 「最高」「確実」「日本一」など、比較・誇大に見える言い回しがないか

迷った場合は、管轄の自治体窓口に相談するのが確実です。大阪府の場合、担当は大阪府健康医療部保健医療室 保健医療企画課 医事グループとされています(電話06-6944-9170、大阪府の医療広告の案内ページより)。なお、厚生労働省は、医療機関のウェブサイトの「うそや大げさな表示」について情報を受け付ける通報フォームも設けています(厚生労働省の医療広告規制ページより)。

まとめ

歯科医院のブログは、記事の内容によっては医療広告として扱われます。特に、スタッフや院長の体験談、口コミの引用、説明のないビフォーアフター写真は、事例解説書でも注意すべきものとして挙げられています。一方で、診療の流れ、予防の知識、費用や制度の事実、地域の情報といった「読者が自分で調べたくなる情報」は、規制の範囲内でも十分に書けます。

書けること・書けないことを先に整理しておけば、ブログは長く続けられる集患の土台になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. スタッフが自分の歯科治療の体験を書くのは大丈夫ですか?

A. 事例解説書では、医療機関のスタッフが書いた体験談も規制の対象とされています。体験談の形ではなく、診療の流れや事実の説明にとどめるのが無難です。

Q2. 口コミサイトの高評価をスクリーンショットで載せてもいいですか?

A. 口コミの転載は体験談の広告として扱われると、事例解説書に示されています。有利な口コミだけを選んで載せると誇大にあたる、ともされています。

Q3. 自由診療のホワイトニングをブログで紹介できますか?

A. 限定解除の要件(問い合わせ先の明記、治療内容・費用・主なリスクや副作用の説明など)を満たす形で、他の禁止事項にも触れない範囲で紹介する、という整理になります。個別の可否は管轄の窓口でご確認ください。

Q4. ブログの運用を外部に任せても、責任は医院にありますか?

A. ガイドラインでは、広告を作る側・載せる側も規制の対象になりうるとされています。外部に委託する場合も、公開前に医院側で内容を確認する体制が必要です。

毎日の記事更新を、まるごとお任せするという選択肢

規制のある業種ほど、「何を書くか」の設計に時間がかかり、ブログが止まりがちです。有限会社リールゲイトの「マイニチ更新」は、企業ホームページを365日、毎日1本ずつ自動更新する月額制のコンテンツ運用サービスです。

  • テーマ設計から記事の執筆、画像の選定、公開まで、すべてリールゲイトが代行します
  • 御社の特徴・地域・業種・ターゲットと、各種のトレンド情報や地域データを突き合わせ、根拠のあるテーマを選びます
  • 料金は月額固定29,800円(税込32,780円)。月間先着20社限定のキャンペーンを実施中です

なお、医療機関の記事は、ご紹介した医療広告ガイドラインへの配慮が欠かせません。ご依頼の際は、掲載できる内容の範囲を事前にすり合わせたうえで進めるのが前提です。まずはご相談だけでもお気軽にどうぞ。

参考文献・出典